100歳までの自分が願ったこと
jmtimages
大学では文学部で英語を専攻し、卒業後、
社員数500人程度の中堅の専門商社に就職した。
海外出張に行ったときのこと。
出張先のアフリカで恐ろしい感染症が流行していた。
致死率は88%。
現地で一緒に働いていた同僚が感染して亡くなっていた。
私も病院で検査を受け、感染はしていたが、幸いにも助かった。
運が良いとしかいいようがない。
その頃、よくまわりに言われていたことがあった。
「おまえ、若いな」
そのように指摘する同級生達は私よりも老けていた。
白髪が増えていたり、髪が薄くて頭皮が見える人もいた。
年齢を重ねると、見た目にその人の生き様が出てくる。
「もしかすると・・・」
自分の部屋でビールを片手にテレビを見ながら、
不老不死について考えていると、突然、神様が私の目の前に現れた。
「久しぶりだな。お前、信じていなかっただろう」
「えっ」
「本当にお前は不老不死になったんだよ」
「信じられませんが・・・」
「たいていお前と同じような願いをするやつがいるが信じない」
「私と同じ人がいたのですね」
「考えることはみんな一緒だ。そういえば、あと2つの願いはどうする?」
本当に願いが叶うと思っていなかったので、
真剣に考えようと思い始めていた。
「すみません!もう少しだけ待ってくれませんか?」
「わかった。何かあったら呼んでくれ」
「呼ぶっていってもどうすればいいのですか」
「必要な時に来るから心配するな」
「わかりました」
あっという間に神様はいなくなった。
ずっと生きられることがわかると、
少しだけ心の余裕が生まれたような気がした。
いつも仕事をしていると「忙しい」というのが口癖だった。
しかし、今の私には時間がたくさんある。
もう時間を気にしなくてもいい。
「時は金なり」ということわざもあるが、
一番大切なのは「お金」だ。
もっとお金を稼ごうと思った。
凡人の私がまわりの人より稼ぐためには努力するしかない。
1日20時間ぐらい働くことにした。
正月以外は1日も休まなかった。
すると少しずつ仕事のコツがわかり、
目に見える形で結果が出てきた。
65歳になる頃。
ほとんど同期は定年退職をしていたが、
私は社長になっていた。
その頃、あまりにも見た目が若いので、
不思議に思う人も出てきた。
しかし、昔に美魔女ブームもあったことから、
それほど問題にはならなかった。
むしろ「どうしたら若くいられるのですか?」と聞かれたくらいだ。
会社の同期は定年退職後、
病気を患い、どんどん亡くなっていった。
働きすぎて体を壊したときにも感じたが、
「何をするにしても健康が一番大切だ」と思った。
たとえ若くても、死ぬことはなくても、病気にはなる。
ずっと社長を続けた。
しかし、100歳になっても会社にいると嫌がる役員も出てくる。
たたでさえポストが少ないのに、私がいると出世できない。
そこで100歳を機に会社を辞めることにした。
約80年間、同じ仕事を続けることにより
「継続は力になること」を学んだ。
石の上にも3年と言うが、3年よりも5年、
5年よりも10年続けたほうが自分のタメになる。
仕事を80年続けることで、ようやく天職だと思った。
結局、今取り組んでいる仕事が天職かどうかなんて、
あとから振り返ってみないとわからない。
まずは目の前の仕事に一生懸命取り組むこと。
誰にでもできるような仕事であっても、
真剣に取り組み、経験を積み重ねることで大きな違いが生まれる。
退社後、転職しようと考えたが、求人は65歳までばかり。
仕方がないので、とりあえず仕事を休むことにした。
Instagramで大人気!「そのままでい」
「自分が救われたように、言葉で人を励ましたい」そんな想いから、Instagramで一日一篇、詩を綴り始めました。毎日欠かさず更新を続けた結果、今やその数は1000篇以上。本書は、「嫌われてもいい」「どちらでもいい」「すれ違う男女」など、厳選した人気作品に書き下ろし作品を加えた176の言葉を掲載。
もっと詳しく知りたい方は「こちら」へ